28.11.03

みんなのラグビー観戦講座(5)

いよいよ5回目となりました。
今回は、おそらくわかりにくいであろう“オフサイド”の話です。

■ オフサイドの考え方
兄弟スポーツであるサッカーにも“オフサイド”があるように、ラグビーにも“オフサイド”があります。
サッカーのオフサイドは、「ディフェンス側のキーバーを除く最後尾の選手よりゴール側にいる選手にパスを出してはいけない」みたいな感じだと思います。
では、ラグビーはと言うと、「攻撃方向に向かってボールより前にいるプレイヤーはオフサイド」となります。これが基本的な考え方です。
しかしこれでは、例えばスクラムからボールがバックス(スクラムに入らず、後ろに並んでいるプレイヤー)に回った時、スクラムを組んでいたプレイヤーはみんな“オフサイド”ということになってしまいます。でも、これでペナルティーにはなりませんよね。
もう少し正確に言うと、「攻撃方向に向かってボールより前にいるプレイヤーはオフサイドのプレイヤー」となります。“オフサイド”のプレイヤーは、プレーに参加しなければ反則(ペナルティー)にはなりません。逆に言えば、ペナルティーにはなりませんが、プレーには参加できません。なので、ボールが出ると、ボールを持ったプレイヤーより後ろになるような動きをするのです。
上記でオフサイドは“ペナルティー(重い反則)”と書きましたが、ボールを持ったプレイヤーが前にいる(オフサイドの位置にいる)プレイヤーにぶつかってしまった場合は、ペナルティーではなく“軽い反則”になります。これを“アクシデンタル・オフサイド”と言います。あくまで、アクシデント(ミス)ということで軽い反則になるのです。しかし、これ以外はオフサイドは基本的に”重い反則”となります。
と、オフサイドがこれだけの説明ですめば簡単なのですが、プレーの状態によってちょっとずつ“オフサイド”となる状態が変わってくるのがラグビーのちょっと複雑なところです。以下、それぞれの場面に応じたオフサイドを見ていきます。
■ ボールを蹴った場合のオフサイド
例えば、自陣の最もゴールに近いプレイヤーがボールを相手陣めがけてフィールド内にボールを蹴ったとします。
この時、このプレイヤーより前のプレイヤーはどうなるでしょうか?
そうです。みんな“オフサイドのプレイヤー”となり、このままではプレーに参加できない状態となってしまいます。
先のオフサイドの基本を考えれば、ボールが頭上を超えれば大丈夫なような気がしないでもありませんが、これではボールをキャッチする方が不利になりますので、ボールが頭上を超えただけではプレーに参加できません。実は、“ボールを蹴ったプレイヤーの後ろ”に行かないといけないのです。
そこで、ボールを蹴ったプレイヤーは、相手陣めがけて(蹴ったボールを追いかけて)走っていきます。ここで、このボールを蹴ったプレイヤ−に追い抜
かれたプレイヤーは“オンサイド(オフサイドの逆)”となり、プレーに参加できるようになります。逆に言えば、どんなに蹴られたボールのそばにいるプレイヤーも、いきなりそのボールをキャッチしに行ったりしてはいけないのです。(これをしたら“オフサイド”になります)
ちなみに、オフサイドのプレイヤーはボールの落下地点から10mの範囲に入ってはいけません。これをした場合“オフサイド”を取られます。
また、ボールをキャッチした相手プレイヤーが10m以上走った場合、オフサイドは解消され、全員がプレーに参加できるようになります。
■ 密集でのオフサイド
次は、密集(スクラム、モール・ラック)のオフサイドです。
スクラムの場合、スクラムを組んでいる選手は、スクラムを組んでいる間(ボールがスクラムから出ていない間)は、ボールが後ろに行ってもオフサイドにはなりません。また、ボールをスクラムに入れるプレイヤーは、スクラムに入ったボールとゴールに平行な仮想の線がオフサイド判定の基準(オフサイドライン)となります。ようは、ボールより前でプレーしてはいけないということです。相手側(ボールを入れない側)の同じような位置にいる選手も同様です。
これ以外の(基本的にはバックスの)プレイヤーは、スクラムの最後尾の選手の後ろ足とゴールに平行な仮想の線がオフサイドラインとなり、これより前に出ることはできません。ですので、ディフェンス側(ボールを入れない側)の選手は、スクラム最後尾の選手のあたりに、真横に並んで相手が来るのを止めようと待ち構えるのです。
ボールが出たとき、このオフサイドラインより前にいたプレイヤーがディフェンスしようとして前に出ると、オフサイドを取られます。(“ライン・オフサイド”なんていう言い方をしたりします)
モール・ラックの場合も、同様の考え方になります。ですので、モールやラックが形成された場合、ディフェンス側の選手は、そのモール・ラックの最後尾の選手より前に出ないようにしなければなりません。(ここがオフサイドラインになります)
スクラムとモール・ラックでちょっと違うのは、基本的にスクラムは8人で組んで、途中から人数が増えるということはほとんどありませんが、モールやラックは、次々とプレイヤーが密集に入ります。ここで、前述のオフサイドラインより前から密集に参加することはできません。つまり、前や横から密集に入ることはできず、後ろから入る必要があります。密集に入ったプレイヤーがオフサイドの判定をされるのは、ほとんどこの“横は入り”で取られています。
��ちなみに、斜め後ろ(オフサイドラインより後ろ)から入るのは、一見よさそうですが、密集に加わるときは“後ろではなく横”に入ることになるので、やはりオフサイドになります)
■ ラインアウトのオフサイド
昨日の説明の中で、「ラインアウトに参加していないプレイヤーは、ラインアウトから15m下がらなければいけない」ということを書きましたが、このラインアウトから15mはなれた仮想のラインがオフサイドラインになります。ラインアウトが解消される前に、このオフサイドラインを超えた場合は、オフサイド、ということになります。
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以上のように、ケース・バイ・ケースで、オフサイドの判定基準となる“オフサイドライン”の位置が変わってきます。これが、オフサイドをわかりにくくしているのではないかと私は思っています。しかし、“基本(ボールの前のプレイヤーはプレーできない)”と、“密集などのポイントでは最後尾のプレイヤーのところがオフサイドライン”というあたりがわかれば、ずいぶんとわかりやすくなるのではないかと思うのですが…いかがでしょうか?
さて、いよいよ次回は「その他の反則とレフリング」についての説明をして、この連載を終了したいと思います。
��もし、本稿で誤り等、お気づきの方がいらっしゃれば、コメントお願いいたします。また「こういう場合はどうなるの?」と言った質問も大歓迎です!>

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